ジロ子屋です。
開業したばかりで塾生は少ないですが、以前の個別指導塾時代に知り合った親御様から紹介され、開業前からお願いされていた子が在籍しています。
このブログに出てくれることを承諾してくださいましたので、ご紹介させて頂きたいと思います。
彼は現在中学2年生で、奈良在住です。
彼とは春に懇談をし、奈良高校、畝傍高校、郡山高校を目指せますか? とのことでしたので、「はい」と答えました。
「郡山高校を目指す。そのために内申を大幅にアップして、さらに夏の模試で成果を出そう」ということで頑張ってきました。
彼の1年の時の成績ですが、内申は34。
中間、期末テストはだいたい340点-380点ほどでした。
2023年3月から面倒を見ることになり、2023年1学期の成果は以下の通りです。
中間テスト431点、期末テスト402点。内申が41。
春3月の模試 偏差値43(郡山E判定、一条B判定)
夏8月の模試 偏差値53(郡山C判定、高田A判定)
成果が出るのが早く、成績も大幅アップでした。
少し出来すぎな感はあります。
塾生が少なくてしっかり見てあげることができたことも要因だったと思います。
これだけ見れば郡山高校まで「もうすぐ」と感じてしまいますが、決してそんなことはありません。
郡山高校に合格するための条件として、内申120以上が絶対に必要です。
中2で40、中3の1学期で40、中3の2学期で40で合計120です。
今回が41ですので安心できる圏内ではありません。
余談になりますが、内申が110台でも郡山高校合格可能ですが、かなり不利です。
内申が120と110の子が受験して、当日点と内申点の合計が同じになった場合、内申の高い子が受かります。
しかも私の経験上、合格ラインがギリギリのところは、内申の高い子が合格します。
内申が低く、当日点が高い子が、合格ラインギリギリ(あくまで私の予想ですが)を超えてきても落とされます。
これは郡山高校だからではなく、奈良だからではなく、他の県でも同じことがおこります。
話は逸れましたが、春に懇談したときに、なぜ奈良高校、畝傍高校、郡山高校に受かることを約束したのか?
そこまで彼の成績が伸びると確信をもった要因をお話しさせて頂きます。
彼は3月生まれで他の子より成長が遅く育ってきました。
だからスポーツの現場でも勉強の現場でも劣等感を抱くことが多かったそうです。
話の節々に「あいつは凄い」「あいつには勝てない」という言葉が出てきました。
最初から「勝てない」という思考が出来上がっている。。。
だから現状を受け入れて、自分の中で限界を作っていました。
スポーツはバスケをしているそうです。
お母様曰く、「シュートは上手くて他の学校の先生にも褒められたことが〜〜〜。でも小さいからブロックされるんです。ドリブルしても抜くことができなくて〜〜〜。」
チームではレギュラーではありませんが、DFをよく頑張るようで試合は少し出してもらえるそうです。
勉強の方ですが、小学生の間は、バスケを頑張っていたようで、塾には通ってませんでした。中学1年から塾には通い始めたとのことです。(中学2年になってから塾とジロ子屋、両方通ってくださっています。)
小学生から勉強を始めていた子に、「お前そんなこともわからんのか〜」と言われ、勉強での遅れが目立ってるようでした。
私からみれば勉強の遅れがあるだけなのですが、子どもの世界ではそれが順位となり、ヒエラルキー(階級)ができあがります。
こうした環境が、どこか全てを諦めさせており、自分の殻を破ることができていないと感じました。
勉強で成績を伸ばすには、子どもが「やる気」になってくれなければなりません。
その子自身の中で勉強することに意味を持たせることが大事です。
彼と最初にクラブの話をしました。
僭越ながら最初に自分の話をしました。
私も体が小さくて苦労したこと。体の大きさが皆んなに近づいてから、空手の全日本大会で3位になったこと。
そして彼にいいました。
「正直、身長が伸びてくるまで実力を発揮するのはしんどいと思う。でも高校生になったら皆んな同じくらいの身長になってくる。そうすると今までとても勝てないと思ってた子に勝てるようになる。あの富永選手(日本代表)も中学時代は小さくてシュートをブロックされて無名の選手だったんだよ。身長が伸びてきたら勝てるようになると信じてバスケを続けてほしい。奈良のバスケは公立進学校が強いんだよ。そのために今は勉強を頑張って、バスケが強い公立高校を目指したらどうか。」
彼は私と勉強をすることを約束してくれました。
どこまで納得させることできたかはわかりませんが、私には彼の強い覚悟を感じました。
そして勉強の方を見ていきました。
国語、数学、理科が苦手とのことでした。
まずは数学。
問題を解いて答え合わせをして解説をして。
間違えたところの説明は理解できている。しかも理解が早い。
答えに辿り着けない原因は、ほとんどが途中の計算ミス。
文章題に関しては、式は作れているのに、途中の計算ミスのため、答えが合わない。
答えが間違えていると、この問題は自分には解けないと結論づけて終わらせていました。
発達の遅れから育ってしまった劣等感が、すぐに諦めるクセをつけていました。
計算ミスをなおせば高得点が取れると確信しました。
国語
彼は兄が2人います。上の子の付き添いが多く待ち時間はスマホをずっとみてたようです。
末っ子なのでなかなか目が行き届かず、気づいたらずっとスマホを見てたと。
そのため根本的に文字が苦手で、文章を把握できない状態でした。
文章の本質は掴んでいますが、答えを正確に抜き出すことができない。
時間はかかるが、答えを正確に抜き出せるように訓練すれば、克服できる状態でした。
理科
記憶中心の生物は得意でした。ほぼ全員がつまずくといっていい1年2学期に勉強する化学「水溶液」をみていきました。
答え合わせをしていくと、やはり理解力は高く、頭の回転が速い。
しかし問題の問うてる意味がわからない、国語力の問題がありました。
そういった場合には、何度も問題を解いて、「慣れる」ことです。
特に理科は問題の出し方は多種多様ですが、問題パターンは類似していて、結局、答えは簡単なことが多いのです。
問題慣れしてくると、この問題はこの答えを求めてる、ということが何となくわかってきます。
たとえば問題を見ただけで、これはアルカリ性か酸性、どちらかを聞いてくるな、と頭で整理できる。
頭が整理できた状態で問題に取り組める。
答えが予想できるから、問題を理解しやすい。
そういう思考になるまで何度も問題を解いて問題慣れする。
もう少し深掘りしますと、1年の化学では食塩水の濃度を求める問題が必ず出ます。
簡単な問題はほとんどの子が解くことができます。
しかし定期テストで出てくるのは、みんなが勘違いしてしまう、ややこしい問題です。
ですが難しい問題も3パターンの問題を繰り返し解いて、問題ごと丸覚えすることで得点がとれるようになります。
(入試ではこのやり方が通用しませんので、しっかり時間をかけて解けるようにします)
社会と英語は1年生の時から高得点(80点ぐらい)が取れていました。
この2教科は確実に90点をとりに行き、内申を5にすることが可能だと感じました。
5教科(国数英理社)だけでなく、副教科の大切さもお話しさせて頂きました。
中学2年生の目標は内申を40以上とること。
副教科の内申が全て4の場合、国数英理社5教科中4教科で内申5を取らないといけない。
副教科の内申が全て5の場合、国数英理社5教科中どれか1教科で内申5をとるだけでいい。
国数英理社5教科よりも副教科の方が高得点をとりやすい。
ジロ子屋では副教科の成績アップも力を入れています。
そして定期テストだけでなく、受験に向けての勉強も始めていく必要があることをお話ししました。
とくに1・2年の内容を中学2年生の間で終わらせる必要があります。
奈良高校、畝傍高校、郡山高校に行くには、これが必ず必要です。
3年になってから勉強を始めていては間に合わないケースがほとんどです。
それは時間という物理的な問題になります。
奈良高校、畝傍高校、郡山高校に進学する子はコツコツ頑張って中学2年の段階で模試の結果がA判定、B判定を出してる子が数多くいてます。
奈良高校、畝傍高校、郡山高校に合格するためには、先行してA判定、B判定を取っている子を追い抜く必要があります。
A判定、B判定を取る子たちも必死で勉強します。
3年になってから勉強を始めると成績は伸びるのですが、この3校の合格ボリュームゾーンに入ること、つまりA判定、B判定を取る子たちに追いつくのが難しいのです。
A判定、B判定を取るようなレベルの子たちよりたくさん勉強しないと追いつけないのです。
ですので郡山高校がE判定だった彼には、2年生の間に、肩を並べる必要(=B判定)があります。
今回の模試の結果が偏差値53。(郡山高校のB判定は偏差値55)
去年でしたら、B判定が出る数値です。そして夏の模試に向けて強化したのは2教科。
英語は得意ということもあり、テスト1週間前に強化勉強。
まだまだ全部を強化できてない状態で偏差値53ですので、学力は追いついてきたといえます。
1学期に成果を出せたことで、彼の生活環境がかわってきたようです。
バスケでは3年生の最後の大会に出場できたそうです。
練習試合では少し出してもらってましたが、本気の試合ではベンチを温めてたそうです。
夏の課題では、理科と音楽が校内代表として作品が選ばれました。
今まで選ばれたことがないそうです。
文化祭ではクラスの代表として指揮者に選ばれました。
夏の学内キャンプでは、4組しか手をあげなかったスタンツに出場しました。
勉強ができる、という周りの目が、彼の評価をかえました。
成果を出したことで自分の可能性を感じ、彼は自信をもって行動できているのではないかと思います。
ジロ子屋では成績アップを目標にしておりますが、人間力向上も願っております。
そのための一つのツールが勉強の成績アップであると考えています。
スポーツの現場や合わない学習塾で不遇の扱いを受けてるお子さまをたくさん見てきました。
そういった不遇の扱いで能力が発揮できてない子がたくさんいます。
せめてジロ子屋を頼ってきてくれた子だけでも、花を開かせてあげたい。
私自身も自分の子どもが不遇の扱いを受けて苦しみました。
そんな子が一人でも減らせるように皆さんのお子さまのお手伝いができることを祈りつつ、これから頑張っていきます!